学校日記

一年を振り返って (12/30)

公開日
2012/12/30
更新日
2012/12/30

校長室の窓

 今日は、朝から冷たい雨が降っています。平成24年が閉じようとしています。学校は、児童も職員も誰もいなくて、静寂の中にあります。
 この一年を静かに振りかえっています。子どもたちと教師との人間同士の関わり、ぶつかり合い、「教育は、人なり」という言葉が、場面場面をとおして実感されます。様々な出来事がありました。嬉しいことや辛いことも。・・・「最善の判断ができたのだろうか」「人として誠実に対応できたのだろうか」・・・
 そんな時、いつも心の支えになっているのは、先人たちの教育実践・教育愛です。私(校長)が尊敬する師の一人として、東井義雄氏がいます。
 
 東井義雄「いのちの教え」から
 広島県下のある高等学校で、9月水泳大会が催されました。プログラムの中に、学級対抗リレーが組まれました。そのとき、いじめグループの番長が「Aに出てもらおう」と叫びました。「そうだ、Aがいい」と、取り巻き連中が賛成してしまいました。Aさんは、小児マヒの女生徒で、とても泳げる体ではなかったのです。でも、彼らの恐ろしさを知っているみんなは、それに抗議することができませんでした。いよいよ大会の日、Aさんが泳ぐ番になりました。1メートル進むのに2分もかかったといいます。まわり中から、冷笑と罵声があびせかけられました。その中を、Aさんは、必死で泳ぎました。そのとき、背広のままプールに飛び込んだ人がありました。そして「つらいだろうが、がんばっておくれ。つらいだろうが、がんばっておくれ」と、泣きながらいっしょに進みはじめました。校長先生でした。冷笑と罵声がピタリとやんで、涙の声援に代わりました。Aさんが、長い時間をかけて25メートルを泳ぎぬき、プールサイドに上がったとき、先生も、生徒も、いじめのグループのみんなも、一人残らず立ち上がって、涙の拍手をおくり、Aさんをたたえました。