学校日記

卒業式 式辞 (3/20)

公開日
2014/03/20
更新日
2014/03/20

校長室の窓

「式辞」

・・・略・・・

 ここに卒業されるみなさんへ、餞(はなむけ)の言葉を贈ります。
 「心に太陽を持て くちびるに歌を持て」です。
 これは、山本有三という小説家の作品の中で紹介されています。
 一九二〇年イギリスで、船同士が衝突する海難事故が起こり、あっという間に船は沈没してしまいます。乗客は、真っ暗な冷たい海に投げ出され、体温を奪われていきます。一本の材木につかまって何人かの人が助けを待っていました。死と直面する中、一人の若い女性がこごえないように自分を元気づけるため、歌を歌い始めます。絶望的な状況の中、周りのみんなも「ぐちをこぼしていて、なんになろうか。ぐちではボートを呼び寄せられない。」という思いから、自然に、子どもに戻ったように歌い出します。そして、深い霧の中から、その歌を聞きつけたボートが近づき、救助されます。

 このような命に関わる事故は、滅多には身のまわりには起きません。しかし、この逸話(いつわ)は、大切なことをいくつか教えています。
 私たちの毎日の生活は、小さな選択の連続です。「めんどくさいこと」「やりたくないこと」から、避けて「楽なこと」「心地よさ」ばかり求めていれば、結果は自ずと出ます。毎日の生活の中で「最後まで諦めない」「その場における最善を尽くす」という心構えを大切にすることを教えています。と同時に、仲間の存在や励ましが、いかに自分を支えるものとなるかも教えています。
 「小事が大事」です。毎日の小さな事が、大きな事(将来の姿)に通じるという道理です。
 「与えられた命のある限り、自分の与えられ場で、最善を尽くし、生き抜いてください。」

 中学へ進学するみなさんへ、最後にこの詩を紹介します。

  「心に太陽を持て」

 心に太陽を持て。
 あらしが ふこうと、
 ふぶきが こようと、
 天には黒くも、
 地には争いが絶えなかろうと、
 いつも、心に太陽を持て。

 くちびるに歌を持て、
 軽く、ほがらかに。
 自分のつとめ、
 自分のくらしに、
 よしや苦労が絶えなかろうと、
 いつも、くちびるに歌を持て。

 苦しんでいる人、
 悩んでいる人には、
 こう、はげましてやろう。
 「勇気を失うな。
  くちびるに歌を持て。
  心に太陽を持て。」
        <フライシュレンによる>

 今、西小学校を巣立っていく君たち、大きな夢に向かって、未来に向かって、失敗を恐れず自分を信じて、挑戦してください。  
 くれぐれも健康に気をつけて、そして命を大切に。益々大きく成長されることを期待して、式辞といたします。

平成二十六年三月二十日
    大治西小学校長    二 村 光 一